MAJUK - 解けない夏 MV

Opening

MAJUK - 解けない夏 MV

お久しぶりです!映像を制作しているTEMACAです。
約3年ぶりに制作の裏話を書いてみました!

まさか軍服務中にもこういった活動を続けているとは、自分でも思っていませんでした。
今回の作品は、約1年ぶりにしっかりと作って投稿するMVでもあり、
「また改めて頑張って、積極的に発信・交流していきたい!」という気持ちもあって、投稿することにしました。

久しぶりの投稿ということもあり、以前とは少し違って、
制作に至るまでの思考の流れや、その間にあったストーリー、そして制作過程まで、
できるだけ幅広く、たくさん詰め込んでみました。

もし今後、気になる点や質問などがありましたら、いつでもメールや X(Twitter)のメンションでお気軽にご連絡ください!
拙く長い文章ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

- 制作期間:アイデア構想を除いて10日間 (1日/2時間)
- 制作環境 : Alight Motion (iPad Pro 12.9 / M2 / RAM 8GB)

制作に至った背景

まず最初に、「MAJUK」というチャンネルを立ち上げた経緯についてご説明させていただきます!

このチャンネルは、2020年に親しい映像系の仲間たちが集まり、
お互いにこっそり誕生日を祝う映像を作ってサプライズするという、ささやかな目的で始まりました。
それが今でも、みんな忙しい中でなんとか続いているのがすごいなぁと思います。

当時は学生だった人も多くて時間に余裕がありましたが、
今ではみんな大人になって、それぞれ忙しい日々を過ごしていて、

特に自分は軍隊に入っていたこともあり、約1年ほどは参加できず、心の中だけでお祝いするような状況でした…ㅜ

しかし、その間に「Alight Motion」という、まるで一筋の光のようなアプリと出会い、個人作品を作りながら少しずつ慣れていくうちに、
最近では「もう慣れたし、短い期間でも映像制作いけそうじゃない?」という自信が芽生えてきました。

それで「自分も参加したいです!」と自ら強くアピールして、
今回、MAJUKのメンバーである『Sei』の誕生日祝い映像に参加することになりました!

(最初は15~30秒くらいの予定だったんですが、結局1分間担当することになっちゃいました。)

構想の流れ

正直、構想の段階からかなり行き詰まっていました。

軍隊という環境上、平日は多くても1日2時間程度しか作業時間が取れず(週末を除いて)、
しかもメンバー全員が忙しいこともあって、毎回かなり急ぎでプロジェクトに入る傾向があり、
今回は作業をすぐに始めなければならない状況なのに、イラストがまだ無い状態で
シーンや演出の構成を考えなければなりませんでした。

そこで、平日の勤務時間中も、休憩時間も含めて、1週間毎日欠かさずアイデアを練り続けました。
まずは、イラストが上半身メインになるだろうと予想し、
過去の『MAJUK』の映像で使用したイラストを仮として使いながら構成を組んでいきました。


’解けない夏‘

今回の誕生日動画で使用した楽曲は、メンバー全員で話し合って決めたものでした。
ちょうど猛暑の夏ということもあり、感情的な魅力を持つこの曲がぴったりだと感じ、自然と全員の意見が一致しました。

私は2年前から、自分が担当する映像パートには、たとえ小さなものでもメッセージ性を込めるようにしてきました。
その人の近況や、今抱えている不安や状態に合わせて、どんな形であれ応援の気持ちを届けられたら―
そんな思いでずっと取り組んできました。

今回の構想も同じです。
祝われる側であるSeiさんの最近の状況について、他の人から少し話を聞いたり、
ご本人が過去に制作した映像を見返したりしながら、
「最近はどんな感情を抱いてるんだろう? どんなことで悩んでるんだろう?」と想像を巡らせ、
完璧ではないにしても、その気持ちに寄り添えるような映像にしたいと思いました。

最終的には、今回選んだ楽曲の中で特に心に残った一節から、アイデアがふっと浮かんできました。

もう二度と君の手を離さぬように
繊細過ぎたあの夏をまた繰り返すんだ 夢になるまで

過去にあった何かを切実に恋しく思い、その瞬間がもう一度訪れてほしいという気持ちが伝わってきました。それはきっと、Seiさんにとっても力になる思いなのではないかと感じました。

「疲れを知らず、希望に満ちて駆け抜けていた、あの頃のまっすぐで眩しかった私。今は少し立ち止まってしまったこの現実の中で、あの時代を切なく恋しく思いながら、心の中で何度も思い返しては、もう一度立ち上がろうとしている。」

このようにストーリーを整理し、ひとつひとつ丁寧にディテールを詰めていきました。

  • 純粋に輝いていた星たち:みんなで合って歩んできた美しい思い出や努力
  • その星々を遠くから見つめる主人公:あの頃を切なく思い返す姿
  • 一人佇む人物:今の自分の状況を際立たせる存在
  • パズル:失ってしまった、あの頃の情熱のかけら
(時間や技術の都合で、実現できなかったアイデアが数多くあります)

あれこれと頭をひねりながらさまざまなキーワードを思い浮かべ、それぞれに意味を持たせていくうちに、少しずつ方向性が見えてきました。
さらにアイデアノートを使ってキーワードとシーン構成を練り、基本的な構想をまとめあげた後、テスト作業の段階へと進みました。

制作過程 #1 : テスト (ビジュアルの雰囲気/エフェクト)

急にテスト?

と思われるかもしれません。自信満々に“作れるかも?”と言ってはみたものの、正直なところ、Alight Motionというアプリの限界に対する不安もありました。

確かにこのアプリは優れた点も多いのですが、After EffectsでMVを制作していた頃のように完璧に再現できるわけではありません。.

たとえば、性能面の問題で、1つのプロジェクト内にレイヤーが150〜200個を超えてはいけないという制限があり、Copy Background(=After EffectsのAdjustment Layerのようなもの)も3つ以上多用してはいけません。
映像素材が重かったり、少し使っただけでもiPad(8GBメモリ)が耐えきれず、プレビューやレンダリングができなくなる問題、Group(=Pre-Comp)機能の弱さなど──。

この1年使ってきた中で感じた問題は、他にも数えきれないほどあります。」

(プロジェクトが少しでも重くなると耐えられないため、主要なシーンごとにプロジェクトを分けてしまった状況です)

リアルタイムのオートセーブ機能がある点を除けば(本当にこれは最高)、当然After Effectsには劣ってしまう部分も多く、実際、最近ではアイデアがたくさんあっても技術的な問題で断念することが増えています。

そのため、事前に「自分がやろうとしていることが簡単でも実現可能か?」をまず試してみて、できなければ別の方向で試行錯誤するという面倒なプロセスが増えました。


Alight Motion の編集画面(色補正とエフェクトのテスト)
ビジュアル/ムード確認用の完成画像 (Illustration : KH (@Thx_KAHO))

やむを得ず3〜4日間、仮イラストを使ってColor Gradingから始め、全体のムード演出が可能かどうか確認し、希望する効果が実現できるかを探るために、さまざまなエフェクトを組み合わせながら試行錯誤を重ねました。
やはり性能の問題で映像素材を多く使えない点も考慮し、いくつかの自分なりのミッションを設けました。

  1. 低容量の素材のみを使い、数も多くてもせいぜい2〜3個程度に抑えること。
  2. その他すべてのエフェクトやオブジェクトは自作すること。
  3. 作ったエフェクトも重くなるほど負荷が大きく時間もかかるため、制作したオブジェクトはできるだけ多様なバリエーションで積極的に活用すること。

特に、映像のテーマや雰囲気をよく表現するために、濃くて暗い青色と、明るい光の空色という2色を軸にしたいと思いました。
(実はエフェクト制作は前作『BOW AND ARROW』のモーショングラフィックス映像で色々試していたので、その点は心配していませんでした。)

制作過程 #2 : オブジェクト制作 + シーン作業

本格的なスタイルフレームの制作に入りました。

簡単に構想はしたものの、最初のシーンをどうやって考えて始めればいいか悩みました。
まず「窓越しに外の‘星’を見つめる」という場面を実現するために、原作の映像と楽曲から感じられる“宇宙”の背景をベースにして、宇宙船に乗っている主人公をイメージして制作しました。

宇宙船の窓越しに星空を見つめるシーン
『崩壊:スターレイル』のゲーム画面(デザインの参考)

実際に作ってみると、最近楽しんでいるゲーム『崩壊:スターレイル』の「銀河列車」にとても似ていると感じ、ゲーム内のデザインからインスピレーションを受けて、映像で使うモーショングラフィックのオブジェクト要素もデザインしました。

Alight Motion でモーショングラフィックスのオブジェクトを作っている画面
円とラインでできたモーショングラフィックスのオブジェクト

左から「始まり」、中央に「失われたパズル」、そして最後に「未来」を表現しました。

Alight Motion で映像のフレームデザインを作っている画面

映像内で使用するフレームデザインを通して、構想したアイデアに沿って各年ごとの状況を表現しました。

Alight Motion で歌詞のタイポモーショングラフィックスを作っている画面

映像で使うタイポモーショングラフィックも制作しました。
個人的にはこの作業が本当に大変でした…ㅜ

Alight MotionはText Trasnform機能が非常に制限されていて、2つ以上の重ね掛けもできず、単語単位での選択すらできないため、効率を完全に捨てて、一文字ずつ分けて配置し、それぞれに効果を適用しなければなりませんでした。

これがもしAfter Effectsの様々なScriptの助けがあれば問題なかったのですが、モバイル環境でやるとなるとかなり不便でした。

さらに、Alight Motionの致命的な欠点として、タイポのサイズを小さくするとピクセルが自然に見えるのではなく、強制的に濃く表示される傾向があり、そのために文字が潰れたように見えてしまい、思い切ってサイズを小さくすることもできませんでした。

この意図しない「強制的に濃いアンチエイリアス」現象はテキストだけでなく、他の一部の効果にも適用されていて、雑な印象を与えてしまいます。

サイズを小さくするほど文字が潰れて見える Alight Motion のテキスト表示
(上 : Alight Motion / 下 : 普通の表現)

フォントもファイルから読み込むことはできますが、これも不安定で、一部のフォントが崩れてしまうなど問題が多く、正直タイポモーショングラフィックを行うにはあまり適したアプリではありません。

結局、新しくて華やかなアイデアもありましたが、時間の都合でやむを得ずできるだけシンプルにしつつも映像に馴染むようにデザインし、上記のようなスタイルで適用しました。

さらに、小さな要素が多いため、単純なブラーではなく、Bokeh効果を使いたかったのですが、当然ながらAlight Motionには「Gaussian Blur」のような基本的な機能しかなくて……

Linear Streaks を重ねてボケを作る Alight Motion のエフェクト設定

上の画像のように、「Linear Streaks」エフェクトを角度を変えて4つ重ねることで、ボケ(Bokeh)のような見た目になるように作りました。

その強度を調整するために、「Box Blur」エフェクトが「Linear Streaks」より前に適用されるように構成しました。

正直なところ、このエフェクトはこれまで自分が作ってきた中で一番重たいものでした。

Copy Background(←ここにどんなエフェクトを加えるかによって負荷度が増加)

Box Blur(←ブラー効果)

Linear Streaks(←これ自体が重いのに、さらに4つも重ねる)

オブジェクトを組み合わせてシーンを作っている Alight Motion の画面

とにかく、これまで作ってきたものをすべて入れ込み、少しずつColor Gradingやビジュアルのバランスを調整して…

完成した最初のシーン

無事に!上記のような、涙ぐましい初のビジュアルを完成させることができました。

制作期間は約10日ほどだったのですが、そのうち半分はこの1シーンを作ることに費やしました。
最初のビジュアルだからこそ、時間が足りなくても丁寧に作り込みたいと思ったからです。

この1シーンを作り終えてからは、作業もスムーズに一気に進みました。
……というのは嘘で、正直めちゃくちゃ詰まりました。本気で。
M2 iPadでもこんなに苦戦するなんて、いったいどうしろっていうんでしょうね。

制作過程 #3 : シーン演出

しかし、どこか物足りなさを感じていて……

その後も同じような形で少しずつ作業を進めていたのですが、やはり何かが足りない気がしました。
演出的に胸に迫るものがなかったり、切なさが伝わらず、没入感に欠けていると感じたため、キャラクターの感情や状況をより強調できる演出について考え続けた結果

とてもシンプルな方法で「独白」をカットシーンとして差し込もう、という結論に至りました。
(このアイデアを思いついた時点で、完成まで残り3日もなかったので、もう悩んでいる時間もありませんでした)

そこで追加の演出と状況を踏まえ、この主人公の物語を表す言葉を以下のように決定しました。

独白の文言(日本語と韓国語)

最終的に、最後の一文はあえて入れないことにしました。

映像内では、直前のシーンのレイアウトによる視線誘導を考慮し、それぞれの独白カットシーンごとにデザインのバリエーションを加えました。

窓越しの星空に歌詞が重なるシーン
窓の向こうにキャラクターの横顔と歌詞が浮かぶシーン
手を組んだキャラクターと歌詞のシーン
組んだ手のアップと歌詞のシーン

こうして独白のカットシーンを挿入してみたところ、映像全体の流れとして盛り上がりがより強く感じられるようになりました。
そこで、この高まっていく雰囲気をハイライト直前までしっかりとつなげ、起承転結を明確にするために

最後のハイライト直前には、強い印象を残す演出を入れたいと考えていました。

レターボックスを縮めたハイライト直前のシーン

こういった場面では、以前から個人的に好んで使っている演出手法である「シーン分割」をよく活用します。

一つ一つは短く通り過ぎるカットであるため、1シーンに過剰な情報を詰め込むのではなく、「インサートカット」として使うことで、映像全体により多様性と強い印象を与えることができると考えています。

ある意味、これがわたしの映像の大きな特徴だとも思っていて、こうした演出の魅力によって、視聴者だけでなく作っているわたし自身も没入感が高くなる点を好んでいます。

この効果を楽曲の雰囲気と合わせてより際立たせるため、以下のように構成しました:

  1. レターボックスを縮めることで、“あの頃”のアナログな感性をより引き出す
  2. 指揮棒を持ち上げる動作を通して、キャラクターのストーリーにフォーカス
  3. キャラクターの前後を人や紙が素早く通り過ぎる演出で、それまで積み重ねてきた努力や過程を象徴的に表現

1カットの密度を上げて派手に見せるという考え方もありますが、個人的には「短く流れるシーンであればあるほど、情報量を詰め込みすぎてはいけない」という信念を持っています。

一瞬で終わるカットに過剰な情報を盛り込んでしまうと、むしろ焦点がぼやけてしまい、伝えたいことが伝わらず、散漫で雑多な印象を与えてしまい、結果として映像全体の完成度や流れにも悪影響を与えると考えています。

もちろん、まだまだわたしも未熟なので、これからも勉強を続けていきます……//ㅜ


ハイライトのシーンでは時間的な制約から多彩な演出は難しかったものの、既に制作していたシーンを再利用し、バリエーションをつけて演出することができました。

下半身だけを映したハイライトのシーン

「もう一度、あの時のように輝けるのかな」

特に、この独白のセリフにふさわしい演出ができるように、最初のシーンでは「現在」の姿を下半身だけ見せ、次のシーンでは似た構図で走る学生時代の「過去」の姿を映すことで、輝いていたあの頃をありのままに振り返る流れを作りました。

以前から、一つ一つのシーンを無意味にしないことを目標にしてきましたが、今回の映像はその目標に少しでも近づけたアウトプットになったのではないかと思います。

Q&A

Q: Alight MotionでColor Gradingや光の表現をする方法は?

A: 方法はAfter Effectsと同じ原理で行いました!基本的な効果の適用は、「Copy-Background」というAdjustment Layerに似た概念のエフェクトを使い、そのレイヤーに以下の効果を適用して色補正を進めました。

  • Color Tune:Lumetri Colorに似た機能です。
  • Saturation / Vibrance:彩度調整用です。
  • Soft Glow:光をやわらかく広げ、その光に色をつけて溶け込ませるための効果です。

面白いことに、「Optical Flare」ほどではありませんが、それに近い雰囲気を出せる「Lens Flare」という効果もあり、この効果を使うことでフレアのようなさりげない光の表現も可能です!

Q: Alight Motionはよく遅くなったり、クラッシュしたり、エラーが多くて作業が大変ですが、解決方法はありますか?

A: 正直に言うと…方法はありません…

ご指摘の通り、ちょっとでもプロジェクトが重くなると、キーフレームをいじっても、テキストサイズを変えても、レイヤーを移動させてもアプリが強制終了するのは当たり前で、レンダリングを開始するとすぐにエラーコードが出て試みすら拒否されたり、プレビューすると急に音が出なくなったり、映像自体が再生されなくなったり…

様々な問題がありますが、シンプルな方法でなんとかやりくりしています。

  • よく強制終了される → 自動保存を信じて、1日に何十回もアプリを再起動して作業する。
  • レンダリングでエラーコードが出て止まる → どのレイヤーが原因かを見つけるのに数日〜数週間かけて犯人探しをし、結局答えがなければ涙を流しながら妥協する。
  • プレビューで音が出ない → 時々アプリを一度閉じて再起動すると、最初のプレビュー1回だけ音が出ることがあるので、そのチャンスを狙う。
  • 重すぎてプレビュー自体できないので作業できない → ひたすらレンダリングして確認し、修正してまたレンダリングを繰り返す無限ループ。
  • 理由がわからない怪奇現象が起こる → これも性能不足か、どこかのレイヤーが原因のはずなので、死ぬ気で犯人探しをする。

Q: 映像を学ぶ過程で何か作らなければいけないけれど、何を作ればいいのか分からない。

A: 私は、自分の心が動くものを作ってみるのが一番だと思います!
最初は練習用として模写(リファレンス作品の再現)から始めても良いと思います。ただし、もちろん何かをそのまま真似して作るのはあまり良くないので、技術的な理論や感覚を学ぶことに集中し、実際の制作では自分自身が何からインスピレーションを受けたのかを元に、少しずつビルドアップしながら構成を練っていく練習をするのがオススメです。

たとえば、「ある楽曲にハマって、その曲で映像を作ってみたくなった」とか、「あるアニメを見て感動して、そのアニメをテーマに映像を作ってみたいと思った」とか——
そういった、自分の気持ちが動くきっかけから始めるのがとても大切だと思います。

何より、こうしたモチベーションがあることで、作業中に興味を失って途中でやめてしまうようなことも起こりにくくなります。
だから、題材は本当に何でもいいので、「最後まで作りきるぞ」という情熱を持つことが何より大事だと思います!

Q: どのようにインスピレーションを得て映像の構想を練っていますか?

A: 実は、今回の文章をすべて読んでいただけたなら、ある程度感じ取ってもらえたのではないかと思います。

突然の話ですが、自分は本当に「単純な人間」だと思っています。頭の回転が特別早いわけでもなく、複雑なことを理論立てて考えたり、体系的に構築したりするのは正直苦手です。

ただひたすら、自分の心が動いたままに作っているタイプです。
音楽を聴いたり、あるテーマに触れたりしながら、何十回、何百回と繰り返し感じたものを、自分なりに映像で表現しています。

制作に取りかかる初期段階では、「こういうビジュアルで作ろう」「こういうデザインにしよう」といった視覚的な要素よりも、
まず「自分がどう感じたのか」「それがどんな雰囲気・感情・気持ちとして伝わってきたのか」を一番大切にしています。

「もし自分がその曲/テーマの主人公だったらどう感じるだろうか?」と想像して、より深く自己投影しながら構想することが多いです。
こうした“過剰なほどの没入”のおかげで、自然といろんなアイデアや演出の方向性が浮かんでくる気がします。

もちろん、そういった自分の単純な感覚や感情に頼ることで、方向性がずれてしまうリスクもあると自覚しています。
だからこそ、「自分が感じたこと」と同時に、「この映像を観てくれる人の心にも届くかどうか」を常に意識しながら、できるだけ客観的な視点も持って、作品をつくるようにしています。

締めくくりに…

光が広がる『解けない夏』MV のワンシーン
青い光の粒が舞う『解けない夏』MV のワンシーン

自分の映像を振り返ってみて…

正直、まだまだ至らない点は多く、今回の演出もどこかありきたりだった気がしています。もっと新しくて、印象に残る表現ができたんじゃないかと思う部分もあり、途中で妥協していくつものアイデアや構成を諦めたせいか、全体のデザインやビジュアルもやや物足りなさを感じています。

それでも、不思議とこの作品には特別な愛着があります。今までの作品と比べても、自分の映像に対する考えや信念に、いちばん近づけたものになったと感じているからです。

軍隊にいる間、これまで自分が作ってきた映像を何度も見返し、同時に他のクリエイターの作品も数百本、数千本と見続ける中で、「どうして自分の映像には心がこもっていないんだろう」と思うようになりました。

当時は状況を言い訳にして、自分自身に妥協しながら映像を作ることが当たり前になっていて、正直、心から納得できる作品はひとつもありませんでした。

今回の作品も、もちろん完璧だとは思っていません。ただ、少なくとも自分の素直な気持ちや想いがちゃんと込められていて、だからこそ何度も見返したくなる、そんな映像になったと思います。

全体の構成や流れも、自分なりにはよくまとまった方だと感じていて、限られた時間の中で最後までしっかり仕上げることができた点は、自分でもよく頑張ったなと思える部分でした。


軍服務を始めてから、気づけばもう1年が経ち、まだ半年ほど残っていますが、
この時間を通して、本当にたくさんのことを考えたり、学ぼうと努力してきた気がします。

時代の流れがものすごい速さで変わっていく中で、実際に何かを手がけることはできなくても、
少しでも置いていかれないように、自分に足りない部分を見つけて直していくことから始めて、
今の時代の流れにしっかりついていくためには、何をもっと努力すべきなのかをたくさん悩んできました。

今振り返ってみると、もし軍服務に入っていなかったら、こんなふうに立ち止まって自分を見つめ直すことすら
なかったかもしれません。
それだけ、この時間的な余裕が心の余裕にもつながり、少しずつですが成長できるきっかけになったと思います。

これから作っていく映像にも、こうした自分の想いや本音が少しでも伝わるように、
これまで以上に丁寧に、心を込めて向き合っていきたいと思います。

また、今回のような制作の振り返り記事も、今後は続けて書いていけたらと考えています。

実は3年前にも似たような気持ちになったことがあったんですが、そのときは結局、面倒くささに負けてしまって…
でも今なら、ちゃんと続けられる気がしています。

取りとめのない、拙い文章でしたが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
もし今後、気になることや他の作品の裏話などがあれば、いつでもメールやX(旧Twitter)でメンションしていただければ嬉しいです。

これからも、どうぞよろしくお願いします!

- TEMACA

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